
建設業者の皆様、日頃より建設業法改正の動向に注目されていることと存じます。2025年2月、建設業界に大きな影響を与える特定建設業許可に関連する下請代金額の変更がすでに施行されています。これは、従来の「資本金要件の緩和」ではなく、特定建設業許可が必要となる下請代金額の下限の引き上げが主な変更点となりました。
これまで特定建設業の許可が必要となる下請代金額は、原則として4,500万円(建築一式工事は7,000万円)と定められていました。しかし、今回の改正により、この下請代金額の下限は5,000万円(建築一式工事は8,000万円)に引き上げられました。これは、物価上昇や工事規模の拡大といった社会経済情勢の変化に対応し、特定建設業の許可制度をより実態に即したものとすることを目的としています。
この改正により、これまで特定建設業許可を必要としていた一部の事業者は、一般建設業の範囲で事業を継続できるようになった可能性があります。これは、許可申請の手間や許可後の特定建設業者としての義務を軽減できるというメリットがある一方で、元請としての責任や管理体制については、これまでと変わらず厳格な遵守が求められることに変わりはありません。
特定建設業者には、下請代金の支払い義務や、下請負人への指導監督責任など、一般建設業よりも厳格な責任が伴います。下請代金額の変更後も、これらの責任を軽んじることは許されません。むしろ、下請保護の徹底やコンプライアンス体制の強化は、これまで以上に重要視されるでしょう。また、専任の主任技術者の配置が必要となる下請契約の請負代金額の下限も、現行の4,000万円(建築一式工事は8,000万円)から4,500万円(建築一式工事は9,000万円)に引き上げられました。さらに、施工体系図の作成が必要となる下請代金額の下限も、現行の4,500万円(建築一式工事は7,000万円)から5,000万円(建築一式工事は8,000万円)に引き上げられています。特定専門工事の対象となる下請代金額の上限も、現行の4,000万円から4,500万円以下に引き上げられました。
行政書士としては、今回の改正は特定建設業者、あるいは今後特定建設業への移行を検討している事業者にとって、最新の改正情報への理解と、自社の事業計画の見直しが非常に重要であると考えています。許可の要否判断、下請契約の内容、そして許可取得後の具体的な事業運営について、ご不明な点やご不安な点がございましたら、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。皆様の事業発展のために、全力でサポートさせていただきます。