
こんにちは
行政書士の城野です。日々の業務のなかで、「病気で身体が思うように動かないのですが、遺言は作成できますか?」という切実なご相談を多くいただきます。
結論から申し上げます。諦める必要は全くありません。
たとえペンを握れなくても、お声が出しづらくても、あなたの尊い意思を法的に有効な「遺言」として、大切な方へ確実に残す方法があります。今日は、その専門家である行政書士の視点から、その方法と私たちのサポートについて詳しくお話しします。
ご安心ください。遺言で最も大切なのは、身体の状態ではなく「判断能力」です
多くの方が、「文字が書けないと遺言は無効になるのでは?」と心配されます。しかし法律の世界で絶対的に重要視されるのは、ご本人の**「遺言能力」、つまり「ご自身の意思を明確に判断できる能力」**です。進行性の病気や障害と向き合っていらっしゃる方でも、意識や判断能力がはっきりしているケースは非常に多く、身体的な制約と法的な意思能力は全くの別問題です。
**ただし、ここで極めて重要な注意点があります。**裏を返せば、もしこの判断能力が不十分であると判断される場合には、残念ながら遺言の手続きを進めることはできません。なぜなら、ご本人の真意に基づかない遺言は、後になって「無効」とされ、かえってご家族を混乱させてしまう可能性があるからです。ですから、私たちは専門家として、ご本人の大切な想いを確実に未来へ繋ぐため、この意思能力の確認を慎重に行いながらサポートさせていただいております。
なぜ専門家は「公正証書遺言」を強く勧めるのか
身体に不自由さを抱える方が遺言を作成される場合、私たち行政書士が最も強くお勧めするのが**「公正証書遺言」**です。これは、公証役場の「公証人」という法律のプロが作成に関与する、極めて信頼性の高い遺言形式です。
その理由は、単に「代筆してもらえる」というだけではありません。
- コミュニケーション方法が柔軟
ご自身の意思を公証人に伝える際、発話が難しければ**筆談や文字盤、PC入力など、ご自身が使える方法で伝えることが法律で認められています。**公証人はその意思を正確に汲み取り、文章化します。
- 圧倒的に高い証拠能力
公証人がご本人と直接面談し、判断能力があることを確認した上で作成します。そのため、後になって「本人の意思ではなかった」といった争いが起きる可能性を限りなく低くできます。これは、ご家族間の無用なトラブルを防ぐ、**最大の「守り」**となります。
- 家庭裁判所の「検認」が不要
自筆の遺言と違い、公正証書遺言は相続が開始した際に家庭裁判所の検認手続きが不要です。これにより、残されたご家族の負担を大きく軽減することができます。
- 出張作成が可能
ご体調に合わせて、公証人がご自宅や病院、施設へ出張してくれますので、無理に外出する必要はありません。
私たち行政書士がお手伝いできること
「そうは言っても、何から手をつけていいか…」と思われるのは当然です。私たち行政書士は、ご依頼者様と公証役場とを繋ぐ架け橋となり、遺言作成がスムーズに進むよう、以下のようなサポートを一貫して行います。
- 丁寧なヒアリング: まずは、あなたの想いやご希望、ご家族へのメッセージをじっくりお伺いします。
- 遺言文案の作成: お伺いした内容をもとに、法的に不備のない、あなたの想いが正確に反映された遺言の文案を作成します。
- 必要書類の収集代行: 戸籍謄本や不動産の登記事項証明書など、作成に必要な煩雑な書類の収集を代行します。
- 公証役場との事前打ち合わせ: 作成した文案をもとに公証人と綿密な打ち合わせを行い、当日の流れをすべて整えます。
- 証人としての立ち会い: 公正証書遺言には2名の証人が必要です。守秘義務のある行政書士が証人となることで、プライバシーを守りながら安心して遺言を作成できます。
煩雑な手続きはすべて専門家にお任せいただき、あなたは「誰に、何を、どう伝えたいか」という最も大切なことに専念していただけます。
最後に
遺言は、単なる財産分配の指示書ではありません。あなたが人生をかけて築き上げてきた想いと感謝を、大切なご家族へ伝える**「最後のラブレター」**です。
身体的な理由で、その大切な想いを伝えることを諦めないでください。私たち行政書士は、あなたの想いに寄り添い、法的な力でその実現を全力でサポートすることをお約束します。
まずはお悩みや不安をお聞かせいただくだけでも構いません。あなたの勇気ある一歩を、心よりお待ちしております。