「建築一式工事」の許可を持つ建設業者の皆様、こんな疑問はありませんか?
「元請けでマンションを建てる計画がある。建設予定地には古い家が建っているが、この解体工事を追加の許可なしで自社で請け負うことはできるのだろうか?」
自社の許可範囲でどこまで対応できるのか、迷う場面は多いですよね。
結論から申し上げますと、このケースでは「解体工事業」の許可を追加で取得することなく、お持ちの「建築一式」許可で解体工事を請け負うことが可能です。
今回はその根拠と注意点を、行政の公表情報をもとに分かりやすく解説します。
なぜ追加の許可が不要なのか?鍵は「附帯工事」
今回のケースで解体工事が許可の範囲内と判断される理由は、その工事が**「附帯工事(ふたいこうじ)」**に該当するためです。
附帯工事とは、主たる建設工事を施工するために必要となる、他の種類の専門工事のことを指します。
計画例に当てはめてみましょう。
- 主たる工事: マンションの新築工事(建築一式工事)
- 附帯工事: そのマンションを建てるために欠かせない、古屋の解体工事
このように、解体工事が新しいマンション建設と一連の工事であるため、主たる工事の許可(建築一式)の範囲に含まれる、と建設業法で定められています。
法的根拠:建設業法 第四条
(附帯工事)
第四条 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。
出典:
これだけは押さえておきたい!3つの注意点
附帯工事として請け負う場合でも、いくつか注意すべき点があります。
1. 「解体工事だけ」を単独で請け負うのはNG
あくまで「建築一式工事」に付随するからこそ解体ができる、という点が重要です。
もし、マンション建設の計画とは全く関係なく、解体工事だけを独立して請け負う場合は、原則として「解体工事業」の許可が別途必要になります。
2. 「建設リサイクル法」の登録は不要
通常、解体工事業を営むには「建設リサイクル法」に基づく都道府県知事への登録が必要です。
しかし、同法には**「土木工事業、建築工事業又は解体工事業の建設業許可を受けた者を除く」**という除外規定があります。
したがって、「建築一式工事」の許可をお持ちであれば、新たに解体工事業の登録をする必要はありません。
ただし、工事に着手する前の届出など、建設リサイクル法で定められた手続きは別途必要ですのでご注意ください。
3. 技術者の配置義務
当然ながら、解体工事を行う際には、建設業法で定められた要件を満たす主任技術者または監理技術者を現場に配置する必要があります。
まとめ:自信を持って計画を進めるために
今回は、「建築一式」の許可を持つ事業者が、元請け工事に伴う解体工事を請け負えるかというテーマについて解説しました。
ポイントの再確認
- 新築工事と一連の解体工事であれば、「附帯工事」として建築一式許可の範囲内。
- 解体工事だけを単独で請け負う場合は、「解体工事業」の許可が必要。
- 建設リサイクル法の登録は不要だが、法で定められた手続きは遵守すること。
法律の解釈は、時に複雑で判断に迷うこともあります。ご自身の計画で少しでも不安な点があれば、許可を受けた都道府県の建設業担当部署へ事前に相談し、最終確認を取ることをお勧めします。
根拠を正しく理解し、自信を持って事業を進めていきましょう。







