おはようございます。行政書士の城野です。
本日は特定建設業の許可要件について一般建設業との違いという観点から書きたいと思います。
特定建設業の許可とは
そもそも特定建設業とは、元請けとして1件の工事に関し下請代金の合計金額が4000万円以上(建築一式工事は6000万円以上)となる下請け契約を締結しようとする場合に必要となる建設業の許可です。
建設業の許可要件は一般建設業も特定建設業も共通して
- 経営業務の管理責任者がいること
- 専任技術者を営業所ごとに常勤でおいていること
- 請負契約に関して誠実性を有していること
- 請負契約を履行するに足る財産的基盤又は金銭的信用を有していること
- 欠格要件に該当しないこと
- 暴力団の構成員でないこと
となっております。ですが 一般建設業と特定建設業の許可要件は細かいところで違いがあります。それは2の「 専任技術者を営業所ごとに常勤でおいていること 」と4の 「請負契約を履行するに足る財産的基盤又は金銭的信用を有していること 」について違いをみることができます。
専任技術者を営業所ごとに常勤でおいていること
まずは上記2の「専任技術者を営業所ごとに常勤でおいていること」についてです。
一般建設業では専任技術者になる要件として以下のように定められております。
①許可を受けようとする業種について、高校(所定学科)を卒業してから5年か大学(所定学科)を卒業してから3年以上の実務経験を有すること
②10年以上実務経験を有する者
③国土交通大臣が上記①②と同等以上の知識技能等を有するものと認定した者
一方、特定建設業では専任技術者になる要件として以下のように定められております。
①国家資格を有する者(1級施工管理技士、1級建築士、技術士)
②一般建設業の①~③のうち、許可を受けようとする業種について元請けで4,500万円以上の建設工事(平成6年12月28日以降)に関し2年以上指導監督的な実務経験を有する者
③国土交通大臣が上記①②と同等以上の能力を有する者と認定した者
という条件になっております。
比べてみるとやはり、一般よりも特定の方が厳しい条件になっております。私の前職でも特定建設業許可の取得を検討していたのですが、この専任技術者の要件をクリアすることが高いハードルとなっておりました。
請負契約を履行するに足る財産的基盤又は金銭的信用を有していること
続いて4の 「請負契約を履行するに足る財産的基盤又は金銭的信用を有していること 」についてです。
この部分に関して一般建設業では次のいずれかに該当する必要があります。
①自己資本が500万円以上
②500万円以上の資金調達能力があること
③直前5年間許可を受けて継続営業した実績があること
一方特定建設業では以下のすべてを満たす必要があります。
①欠損の額が資本金の20%を超えないこと
②流動比率が75%以上
③資本金が2000万円以上
④自己資本が4000万円以上
となっています。計算式で表すと以下のような形です。
要件 | 法人 | 個人 |
---|---|---|
①欠損の額が資本金の20%を超えないこと | (繰越利益剰余金-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)))/資本金×100≦20% | 事業主損失ー(事業主借勘定ー事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金)/期首新本金×100≦20% |
②流動比率が75%以上 | 流動資産合計/流動負債合計×100≧75% | 流動資産合計/流動負債合計×100≧75% |
③資本金が2000万円以上 | 資本金≧2000万円 | 期首資本金≧2000万円 |
④自己資本 | 純資産合計≧4000万円 | (期首資本金+事業主借勘定+事業主利益)ー事業主貸勘定+利益留保性の引当金+準備金≧4000万円 |
こちらの条件もやはり特定建設業の方が厳しい条件となっております。
まとめ_ 許可要件特定と一般との違い
ここまでお伝えした2点が許可要件に関して大きく異なるポイントです。
ハードルは高いですが、取得するとより大きなお仕事を受注することができます。
このハードルを越えるためにも、お近くの行政書士さんにご相談いただくとよいと思います。
以上です。特定建設業許可取得を目指す方へ参考になれば幸いです。