おはようございます。
行政書士の城野です。
本日は建設業許可取得の際に難解とされる実務経験の証明、中でも前職での経験を証明するパターンについて書きたいと思います。
建設業許可における実務経験証明
建設業許可取得のためには専任技術者、経営管理者を置く必要があります。
この職に就くには、それぞれ要件がありますが、そのうち建設業で従事していた経験を証明することが必要な場合があります。(専任技術者や経営管理者の配置について、詳しくはこちら)
福岡県における実務経験証明の為の書類
従事していた経験を証明するために、実務経験を証明する資料を「5年分」「10年分」と、要件を満たすだけ準備して許可取得申請に臨むことになります。
福岡県の場合、要件を満たす年数分、年に1件、実務経験を証明するもの(工事の契約書や請求書)を準備します。
前職での証明
実務経験を現在ご自身が携わっている事業で証明できれば良いのですが、それでは足りない時は前職での経験も加算が可能です。
ただし、前職での経験を証明しようとすると、前職での代表者の証明、前職で経験した工事の契約書や請求書を準備する必要があります。
申請書の下記の様式に前職でどのような工事に携わったか、またそれについての工事の契約書、請求書のコピーを準備します。これらの事を前職の代表者より証明してもらいます。(今は押印不要でしたが、以前は前職の代表者より押印頂く必要がありました。)
前職との関係が良ければよいですが、そうでない場合は前職の経験を使って実務経験年数を稼ぐのはかなり厳しくなります。
また年金記録(被保険者記録照会回答票)でその証明期間に当該前職で働いていたことが確認できないといけません。
補足ですが、今はマイナンバーを使ってインターネット上で記録が照会できます。
参考までに照会方法を載せておきます。
マイナンバーを使った年金記録照会方法(ねんきんネットと連携⇒ねんきんネットにて記録照会)
- マイナポータルへログイン(マイナンバーカード利用)
- マイナポータルでの操作
- ねんきんネットでの操作
前職の証明で気を付ける事
前職の証明で理解をしておくべきは「何を証明してもらっているか」ということです。
許可申請で証明を求められていることは以下の通りです。
- 申請の期間通りに働いていたこと
- 申請の期間中に建設業(もしくは取得したい業種)に従事していたこと
1に関しては年金記録でわかります。
2に関しては1の期間中に業務に従事したことがわかるように、当時の契約書や請求書といった疎明資料を集める必要があります。
証明期間がきっちり○年となっていればよいのですが、例えば以下の例のように〇年△ヶ月のような形で△ヶ月を証明する必要がある場合には、その△ヶ月を証明できる疎明資料が求められます。
【例(福岡県で許可申請の場合)】
(前職)3年1か月+(現職)6年11か月=10年
3年1か月の「1か月」、6年11か月の「11か月」の証明も必要。
3年1か月分⇒疎明資料4件(年に1件+1か月の1件)
6年11か月分⇒疎明資料7件(年に1件+11か月の1件)
前職からの証明を受ける場合、あまりに何度も書類を取りに行くわけにもいかない場合もあり、慎重に書類を集める必要があります。
片月落とし
経験年数は、原則、片月落としだが、月の初めから始まり月末で終わるものについてはこの限りではない。(福岡県建設業許可手引きより)
片月落としとは、たとえば、「2014年5月から2016年4月まで」という期間の場合、24ヶ月ではなく23ヶ月と数えます。
ただし上記手引きの「だが」以降に書いてある通り、月の初めから月末で終わる場合は24か月と数えますので、
「2014年5月1日から2016年4月30日まで」であれば24か月と数えられます。
年金記録で見れば社会保険加入日と脱退日が分かりますので、そこで日にちを証明することも可能です。
実務経験証明のまとめ
今回は実務経験証明のうち前職の証明についてまとめました。
実務経験証明は本当にややこしく、ご自身のパターンが複雑な場合、手引きだけでは理解できないケースも多いかと思います。
今回の記事が参考になれば幸いです。