こんにちは。行政書士の城野です。
本日は、少し前から建設業界で耳にするようになった建設キャリアアップについて書きたいと思います。
建設キャリアアップシステム導入の背景
昨今、自然災害の発生頻度のが増加しており、被害が甚大なものが増えております。
※「2019年版「中小企業白書」┃中小企業庁」より引用
1991-1995、2011-2015は阪神大震災と東日本大震災の影響で突出しています。
この災害により建築物の被害が増加しているため建設業の需要が高まっております。
しかし建設業界では高齢化が進行しており、建設業の担い手について深刻な懸念がなされています。
2020年時点で55歳以上が36%、29歳以下が12%です。
建設業及び建設工事従事者の現状 – 国土交通省より引用
このような構造になっているのは、建設業界が現場での経験が統一的に評価されにくいため、処遇が改善されない状況に一因があると考えられています。
現実には、建設業の年齢別の賃金(いわゆる賃金カーブ)のピーク時期は製造業全体より早く、40歳前後に到来しています。このことは、現場での本人の生産性に現れない管理能力や、後進の指導といった経験に裏付けられた能力が適切に評価されていないことの現われと考えられます。
また、建設技能者は異なる事業者の様々な現場で経験を積んでいくため、一人ひとりの技能者の能力が統一的に評価される業界横断的な仕組みが存在せず、スキルアップが処遇の向上につながっていかない構造的な問題があります。
建設キャリアアップシステム インフォメーションより引用
こうした現状を打開するために技能者一人一人の実績の見える化し、処遇改善に結びつけ、さらには優秀な技能者を抱える事業者の施工能力が見えるようにすることを目的として始められています。
建設キャリアアップシステムの概要
建設キャリアアップシステムは一般財団法人建設業振興基金が提供し、各技術者の技能履歴の蓄積をするインフラです。
業界を横断的に登録・蓄積する仕組みです。このシステムに登録し、作業をすることで、証明できる経験が蓄積されていきます。
2019年4月から本格運用が開始されております。
建設キャリアアップシステムについて 国土交通省より引用
建設キャリアアップシステムの利用手順
建設キャリアアップシステムの利用には大きく「事業者登録」と「技能者登録」と別れており、両方がそろって利用を開始します。
以下手順は建設キャリアアップシステムの説明資料がわかりやすいので引用します。
最後にSTEP6として「経験の見える化」とされています。目的はここにあります。
建設キャリアアップシステムのメリット
目的が経験の見える化としているため、メリットデメリットを論じるのは違うような気もしますが、実際の利用者様にとっては気になるところだと思います。以下それぞれの立場ごとにメリットを挙げております。
①技能者のメリット
- 横断的に経験を証明できる
- カードリーダータッチで日々320円の建退共掛け金を積み立てられる(元請けが一括して掛け金支払い)
②下請け業者側からのメリット
- 見える化により取引先の信頼が得やすくなる
- 出面管理のIT化、賃金や代金支払いの根拠が明確になる
③元請け業者や上位下請業者側からのメリット
- 下請け業者の実力の把握が容易になるため施工の安心感につながる⇒品質が安定する
- 施工体制台帳、作業員名簿の作成、建退共の事務作業の簡素化
- 外国人労働者の資格等の確認が容易になる
また経営事項審査の際に、このキャリアアップシステムで規定される一定のレベルを保有する技能者の所属が、加点の対象とされるようになっております。
利用料金
建設キャリアアップシステムの利用には資本金や人数によっても違いますが、費用が掛かります。こちらも建設キャリアアップシステムのHPがわかりやすいので引用します。
※簡易型:技能者の本人情報等の基本情報のみ登録 詳細型:簡易型の情報に加えてレベル判定の申請等に必要な保有資格情報等も登録
まとめ
建設キャリアアップシステムは建設業に携わる方々を守る仕組みだと思います。
建設業に携わる方の評価を適正にするよい仕組みだと思っています。
まだまだ導入が進んでいるとは言えない状況のようです。(建設工業新聞9/30一面より引用)
ぜひ率先して導入していっていただきたいと思います。
それが建設業を守ることにつながると信じています!
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