遺言書の役割

おはようございます。行政書士事務所開業準備中のJです。

本日は遺言書について書きたいと思います。

日本は超高齢化社会ということで相続に関する商品、サービス、記事を多く見ます。そこで自分も考える必要があるのではないかと思う方も多いと思います。確かに考えることはとても良いことだとは思いますが、いろいろと数字をみて判断するのもよいかと思います。

まずはよく「最近は相続でもめることが増えている」「相続は少額でももめる」という記事をよく見ますので以下の数字で見てみたいと思います。

相続に関するデータ

まず相続でもめることが増えているという件についてです。裁判所のデータから遺産分割の調停の件数を、厚労省のデータから死亡者数を拾いました。

確かに件数は増えています。しかし死亡者数も増えているので争いが増えているということのみをとらえて不安を抱く必要もないかと思いました。遺産分割調停件数/死亡者数で算出される割合はここ10年ずっと約1%で推移しています。

つづいて相続は少額でももめるというところです。これも裁判所のデータから確認ができます。

こちらは令和元年度のデータです。遺産の価額が5,000万円以下のもので全体の77%を占めています。ここから確かに財産が億単位でなくてももめる可能性があるということは言えるようです。

ですので無闇に不安になる必要はないかもしれませんが、誰しも相続のもめごとになる可能性は十分あると思ってよいかと思います。

そこでもめごとになるのを防ぐために有効な遺言書についてお伝えします。

遺言書の役割

遺言書の役割は被相続人である遺言者の死亡後にスムーズにその意思を実現できることです。

もしも遺言がなかった場合、被相続人の遺産にかかる権利・義務は相続人全員に帰することになるため相続発生後は相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の同意のもとで相続手続きを行うことになります。そのため相続人の数が多いとそれだけ分割協議や相続手続きも煩雑になります。遺言書の効力は相続人間で行う遺産分割協議よりも優先されるため、遺言書に相続の内容が書いてあれば、その内容については相続人間で協議する必要なく執行されることになります。

また、遺言書には「付言事項」も記載することができます。この付言事項は相続人に対するメッセージです。
  例えば、
「長男夫婦は私の介護をよくしてくれました。そういう理由から長男夫婦に自宅の土地建物をすべて相続させることにします。自宅の土地建物の価値に比べて預貯金は少ないですが、持ち家のある次男にはこの預貯金をすべて相続させるので納得してほしく思います。相続で兄弟争うことなく、今までどおり仲良くやってください。」
  このような遺言書があれば、相続人の不満が解消されることもあるでしょう。裁判にまで発展するケースは少なくなるのではないでしょうか。

遺言書の役割が伝わりましたでしょうか。無闇に不安になる必要はないですが、皆さんに全く関係ないことでもありません。遺言を書くことで将来の不安を少しでも取り除けたら、また被相続人の方の思いを実現できればと思います。