遺言書_農地の相続

おはようございます。行政書士の城野です。

今日は農地を承継する際の遺言作成のポイントをお伝えしたいと思います。

事例)

被相続人は農業経営をしており、農地を所有している。相続人は子供3人で長男A、次男B、三男C。長男A、次男Bは会社勤めで農業を継ぐことができるのは三男Cのみ。被相続人は農地をすべて三男Cに相続させたい。

ポイント①農地を分割しない

複数人の相続人がいる場合において、農地を分割して相続すると農業経営が成り立たなくなる恐れがあります。そのため農地はすべて農業承継者(この場合三男C)へ相続させる必要があります。

ちなみに農業経営には農地以外にも機械等が必要です。農業経営をスムーズに継続するために、それら機械等についても農業承継者へ相続する必要があります。

ポイント②遺留分

上記のように農業用財産を一人に集約して承継した場合、他の相続人の遺留分を侵害している可能性があります。特に農業用財産以外にめぼしい財産が無い場合は要注意です。事例の場合ですと、三男Cにほとんどの財産が渡ってしまい、長男A、次男Bの遺留分を侵害している可能性が考えられます。農地の価額やその他の財産状況をきちんと把握して、遺留分侵害の有無に気を付けましょう。

遺留分を侵害していると紛争が生じる恐れがあります。それを避けるためには以下のような方策を考えます。

  • 農地の承継者がほかの相続人の遺留分額を代償金として支払う
  • 他の相続人に遺留分を放棄してもらう

遺留分を放棄するかどうかは権利者の意思ですので強制はできません。紛争を避けるためには、遺言者は生前から相続人へきちんと事情を説明しておくことが重要です。

ちなみに遺留分とは・・・

遺留分(いりゅうぶん)とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。亡くなった方(被相続人)は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。これが遺留分の制度です。遺留分を有する者は、配偶者、子(代襲相続人も含む)、直系尊属(被相続人の父母、祖父母)であり、兄弟姉妹は遺留分を有しません。(引用元:法テラス

以上です。農地の相続は、相続後のスムーズな農業経営ができるのかどうか、また遺留分侵害があるかどうかについて気を付けなければなりません。スムーズな承継のために上記ポイントが参考になれば幸いです。